「NPB eスポーツシリーズ スプラトゥーン2」本大会1日目参加レポート
ライター:望月もち(育成枠選手)
皆さんこんにちは。この度、「NPB eスポーツシリーズ スプラトゥーン2」にて、育成枠の選手兼オフィシャルのライターを務めさせていただくことになりました、
望月もちです。
今回は5月18日(土)、19日(日)の2日間にわたって東京ビッグサイト TFTホールで開催された「本大会」に参加いたしました。2日間の模様をレポートしていきます。
初日は3月3日に実施された「ドラフト会議」で選ばれた12チームが、セ・リーグ6球団とパ・リーグ6球団に分かれて総当たりのリーグ戦でリーグ優勝をかけて競います。
大会2日目の最後には日本一のタイトルをかけた「e日本シリーズ」が実施され、栄光をかけた戦いの場に進出する球団を決める「リーグ代表決定戦(トーナメント)」が実施されます。初日の結果を受けて、リーグ1位と2位には「リーグ代表決定戦」のシード権が与えられます。
まずは会場の雰囲気からご紹介します。選手がプレイするメインステージでは、会場中央のセンターステージに選手が向かい合うように座り、彼らを取り囲む形で観客席が配置されていました。これまでに開催された公式大会「スプラトゥーン甲子園」とは違い、どの方向からでも観客の方に見られているということが、選手を大きく奮い立たせることに一役買っていたように思います。
別会場となるサブステージは、育成枠の選手と一緒に試合を観戦できるサテライト会場になっており、盛り上がりを増していくメインステージに対し、穏やかなムードで進行していました。試合を終えた球団代表選手も出演し、ここでしか聞けないインタビューも行っていたので、選手のファンの方は楽しめたのではないでしょうか。
また、現地会場では大会限定グッズを販売していました。ストラックアウト(e-STRUCKOUT)やティーバッティングを体験できるコーナーもあり、スプラトゥーンだけではなく野球でも多くの観客の方に楽しんでいただけたように思います。
初日は合計30試合が行われました。すべてを紹介するにはスペースが足りないため、ここでは各球団チームの結果のみを掲載させていただきます。
まずはパシフィック・リーグについて。
優勝は「オリックス・バファローズ」。これまでのオフライン大会ではなかなか結果が振るわなかったチームでしたが、メンタル面のトレーニングをはじめ様々な努力の結果、スプラトゥーン界最強のチームと呼ばれる「福岡ソフトバンクホークス」を破り、
みごと勝利の栄冠に輝きました。
2度の世界王者に輝いた実績を持つメンバーで、優勝にもっとも近いと思われていた「福岡ソフトバンクホークス」。最終戦までは無敗で勝ち進んでいましたが、これまでにも数多くの激戦を繰り広げてきたメンバーとの“伝統の一戦”「オリックス・バファローズ」戦で敗れてしまい、惜しくも2位。しかしチームの持ち味である、戦略の安定感とここぞという時の爆発力は健在でした。
「埼玉西武ライオンズ」はメンバー全員が実力を発揮したものの、惜しくも3位。全国トップレベルのクアッドホッパー使いである反射神経選手が、パラシェルターソレーラへとブキを持ち替えるなど、チーム独自の戦略も育てていました。
北海道の古豪メンバーを擁する「北海道日本ハムファイターズ」は、強豪「東北楽天ゴールデンイーグルス」を倒し、4位の結果に。メンバー全員がブキを持ち替える柔軟な戦略で、相手に情報を掴ませない立ち回りが、オフライン大会の強者という印象を受けました。
強豪チームとして前評判の高い「東北楽天ゴールデンイーグルス」でしたが、本来の調子を発揮しきれずに5位。スプラトゥーン界でトップクラスの実力を持つチームであっても決して簡単に勝ち上がることができないところから、この大会のレベルの高さが伺えます。
「千葉ロッテマリーンズ」は勝ちを掴めず初日は6位通過。しかし、エースあしん選手を活かす、自分達のチームならではの戦略をしっかりと練ってあり、2日目の下克上に期待がかかります。
一方のセントラル・リーグについて。
優勝は「横浜DeNAベイスターズ」。これまで彼らと対戦したことのあるプレイヤーたちがこぞって優勝候補と語る強豪チーム。その実力をいかんなく発揮し、初日のリーグ戦で優勝を飾りました。
若い実力者が揃う「広島東洋カープ」は、最終戦までを全勝で駆け抜けるものの、「横浜DeNAベイスターズ」に惜しくも敗れて2位。しかしトップクラスの実力を持つアタッカーのNorishio選手をはじめ、前線のプレイヤーが噛み合ったときの爆発力は全12球団でも随一でした。
「第4回スプラトゥーン甲子園」準優勝チームである「読売ジャイアンツ」は3位通過。ナワバリバトルの基礎的な立ち回りをしっかり固めつつ、課題であるメンタルの強化もできているように感じました。
独自の編成で本大会に挑む「東京ヤクルトスワローズ」は、上位チームに直接対決で負けてしまい4位。しかしリーグ優勝の「横浜DeNAベイスターズ」には勝利しており、2日目の試合展開が楽しみです。
「中日ドラゴンズ」は、以前開催したオンライン練習会とは編成を少し変えての本大会出場。5位とはなりましたが、チームのアタッカーであるのすけ選手がここぞという場面でワンチャンスを掴む能力に長けており、押し込まれていても最後まで分からない試合展開となりました。
オープン戦では「プロモデラーPG」4枚編成で会場を沸かせた「阪神タイガース」。
本大会1日目では惜しくも勝利を掴むことができませんでしたが、試合ごとに編成を変えることで、相手に対策を掴ませない戦略で臨みました。このアドバンテージを2日目へと繋げられるか。
「NPB eスポーツシリーズ スプラトゥーン2」本大会2日目参加レポート
ライター:望月もち(育成枠選手)
続いて、本大会2日目となる5月19日(日)の模様をレポートします。
2日目もセ・リーグとパ・リーグに分かれて、1日目の順位をもとに組み合わせを決めた「リーグ代表決定戦(トーナメント)」を実施します。両リーグの勝者はリーグ代表として「e日本シリーズ」へと進出し、日本一を決定します。
シード権を獲得しているチーム以外は、1戦でも負けてしまうと即敗退となるプレッシャーの中、数々の激戦が繰り広げられました。
ここでは、チームごとに2日目の結果をお届けします。
激戦を制してパシフィック・リーグ代表に決まったのは「福岡ソフトバンクホークス」。1日目では「オリックス・バファローズ」に敗れてしまいましたが、しっかりと対策を仕上げたのか、2日目では完封勝利をもぎ取りリベンジに成功。また、「埼玉西武ライオンズ」戦では、先に1本を先取されながらも落ち着いたプレイングで2勝を取り返し、王者の貫禄を見せつけました。
そしてセントラル・リーグ代表は「横浜DeNAベイスターズ」。シード枠として初戦の相手は、トーナメント下位から連勝で勝ち上がった「東京ヤクルトスワローズ」。1日目のリベンジを成功して完封勝利。パブロ使いのテルミ選手もさることながら、メンバー全員が素早いゲームスピードを相手に強いる立ち回りで、終始相手を圧倒する試合内容でした。
e日本シリーズでは、パ・リーグ代表「福岡ソフトバンクホークス」とセ・リーグ代表「横浜DeNAベイスターズ」が対戦。これまでオフライン大会で勝ち続けてきた王者に対し、若き挑戦者が挑む構図に、多くのスプラトゥーンファンが熱くなったことでしょう。とにかく相手を圧倒する立ち回りと若い勢いで、見事「日本一」の座をもぎ取り、プロ野球界・スプラトゥーン界の歴史にその名を刻みました。
また、惜しくも日本一を逃した福岡ソフトバンクホークスの、試合終了後のインタビューにて相手を称賛した姿に対して、代表選手として素晴らしいコメントだなと深く印象に残っています。
まずはパシフィック・リーグのチームについて、2日目の結果を紹介します。
惜しくも代表を逃した「オリックス・バファローズ」は、オフライン大会から実力を十分に発揮し続け、これからの活動に向けて、この大会は大きな一歩となったのではないでしょうか。
「埼玉西武ライオンズ」は代表決定戦トーナメントで王者「福岡ソフトバンクホークス」をあと一歩まで追い詰めますが、惜しくも敗北。チャージャーのうどん店長選手の、相手を圧倒する立ち回りに、多くのスプラトゥーンプレイヤーが驚きの声を上げていました。
元祖・北の王者「北海道日本ハムファイターズ」は、ピンチでも焦らない胆力を活かし、オンライン大会の強豪「東北楽天ゴールデンイーグルス」に勝利。次戦「埼玉西武ライオンズ」に敗北し、敗退となったものの、チームとしての経験をまた一つ積み、さらに強くなった姿を見せてくれることでしょう。
「東北楽天ゴールデンイーグルス」は、持ち味の攻撃力を活かしたプレイで攻め上がりますが、惜しくも「北海道日本ハムファイターズ」に敗北。この大会を通してオフライン大会の経験を大きく積んだことにより、次回以降の活躍が今から楽しみです。
「千葉ロッテマリーンズ」は代表決定トーナメント初戦「埼玉西武ライオンズ」と対戦。あしん選手の怒涛の攻めを活かすチームの立ち回りで、あと一歩まで追い詰める素晴らしい試合を見せました。チームとして工夫を凝らすことで、強豪チーム相手にも戦える、スプラトゥーンのよさが出ているチームのように思います。
続いてセントラル・リーグのチームについて結果を見てみましょう。
代表入りを逃したものの、2日目で実力を見せつけたのが「東京ヤクルトスワローズ」。本番に強いはんじょう選手の攻めが冴え渡り、チーム全員の1日目に敗北した「読売ジャイアンツ」と「広島東洋カープ」へのウルトラリベンジを果たします。
若い選手が揃う「広島東洋カープ」は、惜しくも「東京ヤクルトスワローズ」にリベンジを決められてしまい敗北。試合後のインタビューで、悔しい気持ちを抑えコメントをしている姿を見て、思わず胸が熱くなってしまいました。これからの活躍に期待しています。
「読売ジャイアンツ」は第3試合で「東京ヤクルトスワローズ」に惜しくも敗北。「負けてしまった自分達は、これから東京ヤクルトスワローズを精いっぱい応援するので、よければ皆さん応援よろしくお願いします」とコメントを残し、最期まで情熱の勝負師で在り続けました。
「第4回スプラトゥーン甲子園」に参加していた時から、人前に立つということの意味を知っていた「中日ドラゴンズ」。代表決定トーナメントでは初戦で敗北してしまいましたが、試合後も球団代表選手として誇りを見せた4人に、会場は暖かい拍手で包まれました。
ファンからは屈指の人気を誇る「阪神タイガース」。野球界では伝統の一戦と呼ばれる「読売ジャイアンツ」戦で惜しくも敗北してしまいますが、性能の高いといわれるブキだけでなく、あえて自分達が得意とするブキを使用した編成や、チーム全体の連係力を意識したブキ編成で挑む姿に、多くのスプラトゥーンファンが注目したことでしょう。
以上が、本大会に出場した全12球団の代表チームの総まとめです。
これまで2ヶ月以上、「スプラトゥーン甲子園」を含めると半年以上にも渡り、それぞれのチームを最前線で見続けてきましたが、それぞれのチームならではの編成であったり立ち回りであったり、どのチームも他には負けない魅力を持っており、ひとりのスプラトゥーンファンとして楽しませていただきました。
「NPB eスポーツシリーズ スプラトゥーン2」は2日間の本大会で終わりましたが、この経験を糧に、さらに選手達がスプラトゥーン界を、そしてプロ野球界を盛り上げてくれるのではないかと思います。
最後に、各リーグの優勝チームである「横浜DeNAベイスターズ」「オリックス・バファローズ」、そして最優秀選手賞を獲得した「テルミ選手」、敢闘賞を獲得した「Norishio選手」「やまみっちー選手」にインタビューを行いましたので、お届けします。
e日本シリーズ優勝、セントラル・リーグ優勝
横浜DeNAベイスターズ
最優秀選手賞
テルミ選手(横浜DeNAベイスターズ)
ー今日の感想を聞かせてください。
けいとぅーん選手:
今日は楽しかったですし、いろんな方に応援してもらっている最高の舞台で優勝することができてよかったです。
テルミ選手:
頭の中でどれだけ考えても「嬉しい」って言葉しか思い浮かばないです。ずっと嬉しい!ってなっています。
しめぴぃ選手:
練習の成果を皆さんに見せられてよかったです。
ミルクレープ♪選手:
昨日言った通り、最初から最後まで活躍できたので、本当によかったです。
ーテルミ選手は「最優秀選手賞」を獲得しましたが、いかがですか。
テルミ選手:
てっきりミルクレープ♪が選ばれると思ったのですけど、本当に選ばれて嬉しいです。
ー今回は「NPB(日本野球機構)」との企画として、横浜DeNAベイスターズのユニフォームを着てプレイしましたが、今回のイベントで「より野球が好きになった」ということはありますか?
けいとぅーん選手:
横浜スタジアム(でプロ野球試合前のグラウンド)に出させていただいて、大きなスクリーンで紹介していただいたり、自己紹介をして、その時に(プロ野球)オープン戦を観戦させてもらったのですけど、「野球ってこんなに楽しいんだ!」と思って、プライベートでも行きたいなと思いました。
テルミ選手:
野球に興味が湧きました。今度この4人で野球観戦にでも、行きたいなと思います。
しめぴぃ選手:
最初はあまり興味が無かったのですが、(プロ野球オープン戦を)観に行ったことによって興味が湧きました。
ミルクレープ♪選手:
自分も最初はあまり野球に興味が無かったのですが、この大会を通して野球が好きになりました。
ー若いチームだと思うのですが、今回日本一になれた一番の要因はどこにありますか。
けいとぅーん選手:
やっぱり緊張に慣れたことだと思います。ミルクレープ♪も、試合前に「俺、緊張しない!楽しい!」って感じで、楽しんでプレイできて、緊張しなかったのがよかったと思います。
ー次の目標を聞かせてください。
けいとぅーん選手:
やっぱり次の目標は「スプラトゥーン甲子園」で優勝して、E3に出場して、世界大会で優勝することです。(編注:これまでスプラトゥーン甲子園に優勝したチームは、ロサンゼルスで開催するゲーム展示会「E3」にあわせて開催させる世界大会に招待された。)
テルミ選手:
まだ目標は決めてないのですけど、今後はひたすらガチマッチでもっと高みを目指します。
しめぴぃ選手:
自分はフェス 1ケツか、ガチマッチのランキング1位が取りたいです。
ミルクレープ♪選手:
まだ目標は決めてないのですけど、とにかくもっと強くなって有名になりたいです。
パシフィック・リーグ優勝
オリックス・バファローズ
ー今日の感想を聞かせてください。
くろすっω・)つ選手:
このような形で観客の皆さんに囲んでもらって、歓声を直に浴びてということはなかなか無いので、それを含めて盛り上がって楽しかったというのはありますね。そしてリーグ優勝できてよかったです。
2438学園選手:
楽しくできたということが一番で、チームとしての課題も見えたので、この後はどうなるかは分かりませんが、また機会があればチームでやれたらと思います。
あとばる選手:
この大きな舞台で、かつNPBという野球と関わりのある機会ということで、スポーツのような盛り上がりを『スプラトゥーン2』というゲームを通して伝えられたのが一番よかったのかなと思います。ありがとうございました。
ぴょん選手:
本当に2日間楽しくプレイできて、リーグ優勝できたのが本当に嬉しかったです。ありがとうございました。
ー惜しくも日本一は逃してしまいましたが、今後チームとして、やりたいことや目標を教えてください。
くろすっω・)つ選手:
また大会があれば、この4人で集まって練習して、リベンジする機会があるかは分かりませんが、「福岡ソフトバンクホークス」そして「横浜DeNAベイスターズ」に一矢報いたいと思います。
2438学園選手:
練習の段階では、「横浜DeNAベイスターズ」には自信があったのですけど、その前に「福岡ソフトバンクホークス」に負けてしまったので、そのあたりのブキの変更とか、チームへの対策がまだまだ取れるなと思ったので、そこを今後意識して練習に励んで、またこういう舞台に立てればと思います。
あとばる選手:
「スプラトゥーン甲子園」の時にも(福岡ソフトバンクホークスの代表となった)「GGBoyZ」に負けてしまって、その時は「これで負けてしまうならしょうがないかな」という悔しさだったのですけど、今回は「やれることがまだあったな」という悔しさで。その差がチームとしての力に繋がっているというか、成長を実感できたので、またこのメンバーで力をつけていきたいなと思います。
ぴょん選手:
今の段階ではまだ、次にどの大会に出るということは決まっていないので、次が決まったら、また皆で集まって練習を頑張っていきたいと思います。
敢闘賞
Norishio選手(広島東洋カープ)
やまみっちー選手(福岡ソフトバンクホークス)
ー感想を聞かせてください。
Norishio選手:
僕が取れると思っていなかったので嬉しいです。この賞を取れたのも、信頼してくれたメンバーのおかげだと思うので、カープのメンバーにありがとうという気持ちです。
選ばれると思っていなくてびっくりしていたので、泣きそうになってしまいました。
やまみっちー選手:
自分も貰えると思っていなかったし自信もなかったので、びっくりというのが正直な感想なのですが、とにかく嬉しいです。
嬉しさはあるのですが、自分の中ではチームメンバー全員がいいプレイをしていたので、自分がもらっていいのかなという複雑な気持ちで……。ただ、貰えたことは嬉しいです。
ー自分が選ぶ、一番よかったと思える試合を教えてください。
Norishio選手:
1日目の「読売ジャイアンツ」との試合です。「スメーシーワールド」で「L3リールガン」を持っていたのですけど、中央を抑えられたのがよかったと思います。
やまみっちー選手:
自分は「埼玉西武ライオンズ」とのラストの試合(編注:2日目の代表決定戦 準決勝の3戦目「モズク農園」)で、左の金網から相手陣地に侵入して相手をふたり倒すことで、人数不利を打開したシーンだと思います。
ー次の目標を聞かせてください。
Norishio選手:
まだ何も決まっていないのですけど、またこのような大きいイベントがあれば一から練習して、優勝したいです。
やまみっちー選手:
まず、近い大会であるE3の世界大会で優勝することですね。
(編注:日本時間6月9日に行われた「スプラトゥーン2 ワールドチャンピオンシップ 2019」において、やまみっちー選手が属する「GGBOYZ」が優勝し、昨年に続いて2連覇で世界王者となった。)
以上、「NPB eスポーツシリーズ スプラトゥーン2」本大会のレポートでした。